マーラー交響曲第4番

Canon LiDE500F

レコード芸術選出の「2005レコードアカデミー賞(大賞)」は、クレーメルのバッハ無伴奏ソナタとパルティータだった。
この作品の出来については以前書いた通りで特に付け加えることはない。
古今東西、数多くの名盤がある中で、まさに同曲の代表盤として推すことができる優れた演奏・録音だった。
しかし2005年、個人的に最も気にいったCDは、故テンシュテットの一連のCDだ。
出たもの全てが驚くほどの内容の濃さで、「やはりこの人は20世紀後半のカリスマだった」と思うことしきり。
アグレッシブなベートヴェンや濃厚な表現のブラームスも魅力だが、ここはマーラー交響曲第4番を挙げたい。
私自身にとってマーラーというと、ブルーノ・ワルター指揮、VPO演奏の交響曲第9番(1938)にトドメをさすが、第1番、2番、5番も比較的よく聴く作品だった。
全集だけは10セット程度持っているが、結局聴くのはお決まりの番号ばかり。
この盤のテンシュテットは、EMIの正規録音よりも遙かに生き生きとしている。
「軽い」と表現しても良いほどだ。
その軽さがこの作品では、ぴたりと合っている。
このCDに出会って、今まであまり聴くことのなかった第4番を聴く気になった。
まさにテンシュテットに感謝である。
ソプラノのEVA CSAPOも好演、録音も素晴らしい。

♪「グスタフ・マーラー交響曲第4番/クラウス・テンシュテット&南西ドイツ放送響」 エヴァ・チャポー(ソプラノ)1976年9月18日
Hanssler:PH05039