食卓の音楽

Canon LiDE500F

今年はモーツァルト生誕250周年。
日本でもモーツァルトの人気は高く、ゴールデンウイークの3日間をすべてモーツァルト作品で埋めた音楽祭を開くほどだ。
35歳の若さで没した天才だが、残した作品は膨大。
大がかりなオペラや単独楽器用の小品まで、断片も含めると700以上もある。
特に、カッサシオン、セレナード、ディベルティメントと呼ぶ典雅な賀宴曲は、食事をとりながら演奏されたという。
モーツァルトが生きた時代は18世紀末。
ロココの様式美からフランス革命という動乱を経て、市民階級が勃興した時期に当たる。
特権階級だった貴族の没落と同時に食事に対する考え方も変わり、時代は利便性と効率を求めるようになっていく。
しかし、文明の発達が利ばかりを追い求め、人間性を排除するものだとすれば悲しい。
近年、この国でも動機や目的の分からない犯罪が増えた。
加害者たちの食卓は、一体どのようなものだったかと思わずにはいられない。
もう一度食卓の楽しさを考えてみよう。
18世紀の貴族とはいかないが、音楽くらいは楽しめるはずだ。