The Beautiful Game

Canon LiDE500F

5月に入ってから、不順な天気が続く。
すでに野菜は高騰気味だが、水不足を免れると思えば、感謝する気持ちにもなる。
さて来月から、いよいよW杯が始まる。
日本人にとってW杯が身近になったのは、TV放映された70年メキシコ大会から。
したがって、66年のイングランド大会は、どうしても欧州だけの話題となるようだ。
同大会の決勝は、イングランドと西ドイツの間で行われた。
試合は両者五分五分のまま延長戦に突入。
この日好調のイングランドFW、ジェフ・ハーストのシュートは、西独ゴールのクロスバーを直撃。
真下に落ちたボールはゴール外に跳ねた。
「入っていない!」と叫ぶ西ドイツ選手たち。
しかし、審判は協議の末、ゴールを宣告した。
気落ちした西ドイツに対し、ハーストはさらに1点を追加、イングランドが初優勝を決めた。
勝負を決めた「疑惑のゴール」は、今でも議論の種だ。
そのハーストが解説者として呼ばれた82年スペイン大会でのこと。
ホテルでくつろいでいると、長身の紳士が歩み寄ってきた。
フランツ・ベッケンバウアー(元W杯西独代表、今大会実行委員長)だった。
挨拶もなく、彼は切り出した「あれは入っていなかった」
真顔で言われ、さすがに戸惑った。
「審判が判断したことだ」とだけ答えた。
ハーストは語る「記憶に残るプレーは、いつも議論の的になる。しかし、選手としてそれは光栄なことだ」と…
人々の心に深い思いを刻むW杯。
今大会の成功を願わずにはいられない。