Slow Footwork

PCV-HX80B

1ヶ月間に渡り、多くの話題を提供した2006FIFAワールドカップドイツ大会が終了した。
イタリアとフランスが戦った決勝は息詰まる熱戦。
結局、90分で勝負をつけられなかったフランスがPK戦で敗れた。
現役最終試合となったジダンは、暴力行為による「一発退場」と、誰もが予想しなかった形でピッチを去った。
さて、今大会の経過を再度見渡してみると、結果論になるがブラジル対フランス戦が内容的にも白眉だと思う。
パレイラ監督の用兵も問題だったが、実力ナンバー1のブラジルを破ったフランス。
やはりジダンの存在は格別だった。
「精神的支柱」としての存在感を出せないまま予選を敗退した韓国・日本大会とは明らかに違った。
20年先のトータルフットボールを実現したヨハン・クライフ、タフな展開でも感情を出すことなく、限界まで冷静に試合を進めたベッケンバウアー、華麗なスピードと強烈なフェイントでスーパースター像を書き換えたマラドーナ
ジダンは過去のカリスマとは明らかに違うプレーヤーだ。
私には何故か、彼のフットワークだけがゆっくり見える。
E・クラプトンがスロウ・ハンド(余裕の手さばき)なら、ジダンはスロウ・フットワークか…
まさに自分だけの時間尺度を持っていて、しかも他人をも巻き込んでしまう影響力の強さを感じた。