GRデジタル ワークショップ

Canon LiDE500F

プロも使える本格的コンパクト・デジタルカメラRicoh GRデジタルが発売されて9カ月。
ユーザーは、「もう9カ月」と思うだろうか…、それとも「まだ9カ月」と思うだろうか…
私にとっては、やはり「まだ9カ月か…」だ。
半年ごとのモデルチェンジが常識化する業界で、このカメラを異例の長期販売機種としたRicohの意気込みは買うが、ユーザーとしてはそろそろ変化球が欲しくなったのも事実だ。
そんな浮気の虫が出る時期を見越して、エイムックから「GRデジタル ワークショップ/田中長徳・著」が発売された。
内容は、長徳氏得意の随筆風コメントとGRデジタルやライカレンズの作例を載せたもの。
GRデジタルのムックは、これまでにもいくつか出ているが、栄枯盛衰が激しいコンパクト・デジカメ界で、これだけ紹介本が出るのも人気の表れだろう。
無論、そのバロメーターとも言える中古価格も高値を維持している。
このカメラをこれまで9カ月使ってみて、改めて思うのは、そのストイックな基本性能だ。
歪みのない広角レンズも見事だが、今時ズームが無いというのも貴重だ。
そのため、どうしてもアングルを工夫するようになる。
決まってしまった枠の中で、多少なりとも変化をつけようとすれば、ユーザー自身が頭と体を働かせるしかないからだ。
今や珍しくも無くなった高倍率ズームは、やはり人間を横着にさせる。
時折GRデジタルを使うことで、その横着になった部分を確認し、反対方向にバランスを採るようにしている。
露出と構図がもろに出るモノクロモードも良い。
ゴマカシが効かない分、撮影にも多少気合いが入るようだ。
長徳氏は2倍程度のズームなら、付いていても良いと考えているようだが、どうせズームを付けるなら、よりワイドな方向に広げてもらえないだろうか。(まぁ無理は承知ですが…)