藤沢周平ブーム

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本屋に行くと朝日新聞社発行の「藤沢周平の世界」なる週刊百科が平積みされている。
文藝春秋からは、本格デビュー前の昭和37〜39年にかけて、雑誌「読切劇場」に掲載した短篇14篇を収録した未刊行初期短篇も発売された。
今や世を挙げて時代小説、藤沢周平ブームである。
ちと大袈裟か…、しかし、テレビドラマ「蝉しぐれ」や近日公開される映画「武士の一分」などでファンが急増しているのは事実だ。
藤沢氏は山本周五郎の伝統を継ぐ江戸市井ものを得意としたが、謙信後の上杉家を描いた「密謀」、本能寺に至る光秀の心情に光を当てた「逆軍の旗」など武家ものもまた素晴らしい。
私自身も大江戸ハードボイルドと言える「用心棒シリーズ」など、お気に入りの作品がたくさんある。
氏の晩年、音楽テープをお贈りした際、バッハのマタイ受難曲冒頭のコーラス部がお好きだったことが懐かしい。