E Pluribus Unicorn

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1960年に早川書房が刊行した「異色作家短編集」は、SF、ミステリ、ファンタジー怪奇小説などと明確に色分けできない異色作家たちの作品を集めたもので、6冊ずつ3期に渡って18冊が発売された。
その後74年に復刊したが、何故か発売されたのは12冊だけ。
発売されなかった6冊はコレクターズアイテムとなり、とりわけ手に入りにくいスタージョンの「一角獣・多角獣」はオークションで数万円の値をつける稀少本となった。
2005年、早川書房創立60周年の記念出版として、ようやく新装版「一角獣・多角獣」を刊行。
多くのSFファンが歓喜の声を挙げたのである。


シオドア・スタージョンの名を聞いてオールドファンは「人間以上」「原子力潜水艦シービュー号」を思い出すだろう。
多彩な著作を残した割に、日本では紹介されることが少なかった作家でもある。
ただ最近では、晶文社や河出書房からポツポツと作品が発売されるようになった。
本書は稀少という価値とは別に、「傑作」の名に恥じない短編集でもある。
秋の夜長に、ちょっと面白い話を読みたいという方に是非オススメしたい。


「一角獣・多角獣」シオドア・スタージョン著  小笠原豊樹
早川書房発行 2000円