Picture of Venezia
秋の日差しに誘われて、渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催中のヴェネツィア絵画展に行ってきた。
16世紀初頭から1797年のヴェネツィア共和国崩壊まで、ヴェネツィアはヨーロッパの芸術文化が高揚したいくつもの時代を経験した。
往事の「華の時代」は、ジョヴァンニ・ベッリーニ、ジョルジョーネ、ティツィアーノ、ティントレットなど巨匠たちの作品に伺うことができる。
◆聖母子と聖ヨセフを礼拝する聖女テレサと聖ペテロ、聖女ウルスラ、司教
ジャンバッティスタ・ビットーニ
18世紀中期の作品で、今展示会のチケットにも採用された。
作品名も長いが、構図も宗教画特有の昇天構図で縦長。
洗練されたロココの優美が味わえる。
◆パリスの審判(1760)
フランチェスコ・グアルディ
トロイアの王子パリスは、ヘラ、アテネ、アフロディテの3美神に最も美しいのは誰かと問われる。
アフロディテを選んだパリスは、彼女にリンゴを渡し、スパルタの美女ヘレネと結婚するようすすめられるのだった。
同時代のフランス人画家フランソワ・ブーシェを思わせるような優しい色使い。
ロココの淡い色調が、近世絵画の黄金時代を伝えてくれる。
◆洗礼者ヨハネの首を持つサロメ(1515頃)
ティツィアーノ・ヴェチェリオ
サロメは1世紀頃の古代パレスチナに実在したとされる女性。
母はヘロデ王の妃ヘロディア。
酒宴で見事な舞を披露したサロメは褒美に囚われの聖ヨハネの首を所望する。
その逸話の異常性から常に芸術作品のモチーフにされてきた。
切り取られたヨハネの首は作者の自画像とする意見が出ている。
◆サン・マルコ広場(1747頃)
ベルナルド・ベロット
作者のベロットは風景画の巨匠カナレットの甥で、精緻な作風にはカナレットの強い影響が伺える。
シャープな描線は、カメラの原型「カメラ・オブスクラ」を覗いて制作したもので、その簡潔で精緻な表現は近代絵画の先駆となった。
※うれしいニュースが一つ。
同美術館では来年8月末から、わが国初のジョン・エヴァレット・ミレイ(1829〜1896)回顧展を予定する。
これは楽しみ!!