COOLPIX S51c

EOS 40D

車のデザインが好きだった子どもの頃、アイドルは常に均整の取れた欧州車。
フェラーリマセラティロータスといったスポーツカーだった。
一分の隙もない完成したデザインには、子供心にも「凄い仕事!」と感じたものだ。

反面、全く感心が無かったのがフランス車のデザイン。
とりわけシトロエンDSに代表される緊張感のない弛緩したラインは、だらしなく、不格好の典型とさえ思っていた。

20代に入って、ギャビン・ライアルの「深夜プラス1」を読んだあたりで、この感覚が少しずつ変化しはじめる。
デザインって、決して「見てくれ」だけのものではない。
初見では分からない「味」とも言える感覚を、デザインとして具現化したシトロエン
その魅力に気づいたのは30代になってからだ。

その不格好さが何ともたまらない魅力。
と書くと誤解されそうだが、息が詰まりそうな完璧なバランスをあえて崩す「粋」を「エスプリ」と呼びたい。
フランスのデザインには知的な遊び心が溢れている。

ニコンCOOLPIX S51cは、同社には珍しい遊んだデザインが魅力のデジカメだ。
無線LAN機能内蔵という前にそのアンシンメトリーな有機的デザインに惚れた。
操作してみると、遅いAFといい、電池蓋のがたつきといい、安っぽく華奢で、いかにもフランス的。(笑)
でもこのデザインなら許せる。
そんな気にさせる不思議なカメラだ。